松林寺 大邱・八公山(パルコンサン)にある名刹

2014年7月27日日曜日

防川市場


嶺南大学で日本語を教えているHさんからの誘いで、鳳山文化会館で行われているコンサートを聴きに行く。거리의 楽사(通りの楽士)という名の青空コンサートで、フォーク、ジャズ、伝統音楽、クラシックなどを市民に気軽に楽しんでもらうという企画らしい。
風景荘近くからバスに乗って半月堂まで約50分、夕方になり陽射しは少し弱まったが、空は青く高い。







この人はチェファン(채환)というフォーク・シンガーで、一言でいうとキム・グァンソク(金光石)の衣鉢を継ぐ(悪く言えばエピゴーネン)歌手である。大邱出身のキム・グァンソク(金光石)は韓国では知らぬ人のいない歌手で、80年代から90年代、民主化運動の渦中で名曲を次々にヒットさせた。1996年に32歳の若さで自殺(他殺説もあり)したので、尾崎豊に例えられることもある。彼の歌は、伸びのある声で、明快な抒情に満ちた覚えやすい曲ばかりだ。没後18年が過ぎたが、今でも多くの歌手が歌い継ぎ、ミュージカルにもなるなどして、同時代を生きた人々の郷愁を誘うばかりか、生前の活躍や激動の時代を知らない若者の中にも新しいファンが生まれている。

http://www.youtube.com/watch?v=vHelYw-nClY&list=WL&index=21

http://contents.innolife.net/lista.php?ac_id=13&ai_id=49

チェファンも金光石に似た伸びのある声質で、彼のオリジナルと金光石の曲と半々くらい、約1時間の演奏。ソウルに住んでいて、毎週のように大邱に来て歌っているらしい。

心が洗われた思いがしたあとは、Hさんの知人で、このコンサートの企画者でもあるYさんに誘われて防川市場(パンチョン・シジャン)へ。


大邱東部教会の向かいにある防川市場は、かつて大邱の三大市場の一つと言われたが、近年衰退が激しく周辺もややスラム化していたという。そこへキム・グァンソク通りを川沿いに作ることに始まり、ギャラリー、カフェ、工芸店、工房、バー、レストランなど、お洒落な店がぽつぽつと出来始めて、ここ数年で若者向けのアートな街に生まれ変わりつつある。午前中はアジュンマたちが野菜や魚を売る通りが、夕方から夜にかけては若者がざわめく食堂街に変わるのだという。


この日も街のあちこちで若者たちが歌っていた。みんななかなかオサレ。


夜の食堂街は雰囲気の良い新しい店が多く、家族連れや若者たちで賑わう。美味しそうな店ばかりだ。その中でも空席待ちの行列ができていた「家族」というチョッパル(豚足)の店が良さそうだったので、Hさん、Yさんと一緒の席を外に作ってもらい、ビールで乾杯。








大邱でチョッパルを食べるのは初めてだが、ソウルの奨忠洞にもひけをとらない。大邱らしく薬草で煮込むとかで、柔らかくさっぱりとした癖のない味わい。外で飲むビールもいい。久しぶりで美味いものにありつけたという思いがする。蕎麦とのセットで3人前33000ウォン。美味くて安く、大満足也。


Yさんは写真家のご主人とこの町でギャラリーやアートスペースをいくつも経営していて、通りを歩くたびに知人と声をかけあっている。若く貧しいアーティストたちのパトロン、プロデューサーといった存在だろうか。嶺南大学周辺では見かけない種類の人種である。
自宅の近所にはろくな食堂がなく田舎の壁につきあたっていた小生には、まだまだ大都会・大邱には未知の世界が多いことが確認でき、先日の西門市場の餃子といい、今日のチョッパルといい、大げさに言うと少々希望が湧いてきたのだった。

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