イ・ジョンジェ = 仁川上陸作戦成功のために諜報活動を遂行する海軍諜報部隊大尉
イ・ボムス = 仁川を掌握する北朝鮮軍司令官
リーアム・ニーソン = ダグラス・マッカーサー将軍
製作費は約14億円。リーアム・ニーソンの出演料は2億円だという。観客数700万人が目標で、全米公開も間近となり、順調な興行成績を収めている。
イ・ジョンジェたちは「X-ray」作戦という名の諜報部隊で、仁川を占領している北朝鮮軍に合流する。もちろん全員が北朝鮮軍の軍服を着ており、北朝鮮訛りで話すので、最初のうちは怪しまれない。
しかし、イ・ボムス扮する司令官が次第に疑問を抱く・・・という展開である。
イ・ジョンジェが格好いいのは相変わらずだが、イ・ボムスが強烈なキャラクターで迫力がある。このために7キロも増量したとかで、傲慢狡猾で猜疑心に満ち、腕っ節の強い司令官を怪演。
結論から言うと、諜報部隊の献身と犠牲により、仁川上陸作戦は奇襲に成功するという流れは誰にでも予想できる。そのために仁川上陸のクライマックスまでにいかに盛り上げるか、という単純な映画である。仁川上陸そのものはCG映像が多いし、上陸後の戦闘も描かれない。
試写会の段階では「時代遅れの反共映画」などという酷評も見られたそうだが、封切りされると大ヒット。若者よりも年配者の観客が多いらしい。
この映画は一部で「クッポン」という評価を受けている。国家(クッカ)と覚せい剤のヒロポンの合成語で、クッポンとは、民族主義やナショナリズムを過剰に煽り立てる「愛国マーケティング」を揶揄したり卑下して言うことらしい。
「国際市場で会いましょう」(原題「国際市場」) →朝鮮戦争
「延坪海戦」 →北朝鮮との海戦
「バトルオーシャン 海上決戦」(原題「鳴梁」) →李舜臣
「鬼郷」 →慰安婦
「暗殺」 →独立運動
などの作品が過去の記事で「クッポン」と言われたそうだが、そんなふうに考えると「徳恵翁主」だってそうである。日帝の支配を憎むあまり、李朝王族までが抗日独立運動に加担するというトンデモ・ストーリーなんだもの。
近代史、現代史に映画の題材を求めれば、製作者・監督は国民の感情に強く訴えることを狙い、あざとい演出や歴史歪曲が当たり前のようになってしまう。
韓国映画は、とにかく刺激的で、ダイナミックならそれで良しとするようなところがある。
「仁川上陸作戦」の場合は、敵は北朝鮮人民軍であり、共産主義であるとはっきりしていて、そこに「民族同胞が殺しあう悲劇」などといった観点はほとんど入らない。そのほうが明快な勧善懲悪の娯楽映画に徹することができるからだ。
北朝鮮にシンパシーを持つ人、現政府に批判的な人たちは、それを批判して「クッポン」という言葉を使うのだろう。
リーアム・ニーソンのマッカーサーは、確かに適役なんだけど、従来のイメージ通りのマッカーサーでしかない、という批評も出ていましたね。
0 件のコメント:
コメントを投稿