競馬場では8レースに爪皇盛水(Affluence of rain) 、9レースに傾力之城(Leading City)を出走させるオーナーのケニー・チョウ、レイモンド・チョウ、ゲイリー・リンさんたちファミリーに歓待され一緒にパドックに降りたり、JRAのMさんから馬券の買い方を教えてもらって数十年ぶりに競馬を楽しんだ。ハイセイコーの時代、20代の頃に取材で中山競馬場へ行って以来である。350ドルほど買って、当たりは100ドルほど。レストラン代は金さんがご馳走してくれた。香港の金持ち階級の優雅な休日に紛れ込んだ一日だった。Tさんは競馬好きが高じて世界の競馬場巡りをしている。山口瞳さんの「草競馬流浪記」の向こうを張って「世界競馬流浪記」みたいな本を書いてはどうかとハッパをかける。
競馬が終わると、近くの禾○(「山」と書いて下に「大」と書いて「車」と書く。ウォーチェー)という街にある屋台村に集合。Tさんによればこの地域は本土から移民してきた低所得者層向けの大団地で、その中にいくつもの屋台村があるという。千人くらいが喧噪の中で食べまくっている、その規模に度肝を抜かれる。その中にある「陳根記」という店で、12名のメンバーが集まった。皆、Tさんの競馬仲間である。調教師、新聞記者、ガイド、レポーター、マネージャーなど、全員が香港競馬の関係者だ。12月30日「裕記」に来てくれた文さん、朱さんの2人も加わっている。浅蜊、鵞鳥、胡椒海老、わさびチキン、なすのフライ、青菜、魚のフライ、羊のリブ、味噌仕立ての羊鍋、お粥に焼きそば……etc. みんな陽気で楽しく、気のいい人ばかりで、いつも競馬が終わったらこんな風に屋台で盛り上がるのだそうな。ワイワイ飲み食いしながらも、ゲストのわれわれに常に気を遣い、酒や飲み物を奨めてくれる、そのホスピタリティ。Tさん曰く「香港の人々は金持ちでも貧乏人でもいつも楽しそうに暮らしている。そして皆、都会人なんです」。確かに中国本土でよく見かけるわがもの顔で無愛想な中国人とは全く別人種の人たちだなあ、と小生も実感。
朝の弱肉強食早い者勝ちの飲茶から始まって、昼は優雅な競馬場で過ごすハイソな時間、夜は喧噪怒濤の大宴会、元日からかくも濃密で刺激とヴァラエティに満ちた一日を過ごすことになるとは思わなかった…。香港に宿を変えて良かった。このあとマカオに帰るのは辛かったであろう。
総勢12名、元日から屋台村で盛り上がった
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