松林寺 大邱・八公山(パルコンサン)にある名刹

2011年5月4日水曜日

2011年5月3日(火)

朝から雨。ベルンでも一月ぶりらしい。本日は今回の旅のハイライトとなるはず。トーストと珈琲のいつもの朝食後、傘を差してWittigkofen駅へ。ホームにある券売機兼改札機
に縦長のチケットを差し込む。これは昨日スーパーで買っておいたもので20スイスフラン。6回分乗れる仕組みで、この機械に差し込むと印字され肩の数字の部分が切り取られる。乗客は自発的にこれをしなければならない。車掌はいないので、無賃乗車は簡単にできるが、ときどき私服の職員が乗り込んでいて2人がかりで客を摘発、その場で罰金80フランを巻き上げるのだという。アムステルダムのトラムは入口・出口でチケットを読み取り機にかざさないとドアが開かない仕組みで、こちらのほうが合理的だと思うが、お国柄の違いか。

ベルン駅で Bern - Weinfelden の往復2等チケットを購入。126スイスフラン。横井さんは高齢者割引の半額カードを持っている。スイスにはさまざまな割引制度があって、国民はそれらを上手に活用することで高額の交通費等に対処する。Weinfeldenまでは約2時間。近づくにつれて雨も上がってくる。駅には予約したタクシーが待っていて、Ermatingen の Chateau Wolfsberg へ。緩やかな緑の丘陵地帯を車は走る。人間より牛の数の方が多いに違いない。スイスの畑や牧場はどこでも美しく整地されていて色彩が豊かだが、ドイツ国境のこのあたりはちょっと垢抜けしていなくて田舎くさい。
20分ほど走って、Wolfsbergに到着。このお城、高い尖塔はなく平城のような形だが、16世紀の後半にWolf Walter von Gryffenberg という領主が建てた。所有者はさまざまな歴史とともに変わったが、パンフレットによるともっとも輝いていた時代は1820年代から1830年代、ワーテルローの戦いのあとナポレオンの側近・支持者たちが住んでいた頃らしい。ナポレオンや将軍たちの肖像画や当時の武具なども飾られている。1970年代に入って、UBSというスイスの大銀行が買い取り、ホテル兼セミナーハウスとして改装、モダンな新築棟も作られた。
CEOのDr.SchonenbergerとアートディレクターのDr.Jefticが迎えてくれて、まずランチタイム。肉か魚かベジタリアンか。魚のメニューを見るとフライだったので昨日と同じではいけないと肉を選ぶ。見た目は美しかったが、平凡なビーフステーキであった。しかしサービスは全体にレベル高く、デザートのムースは美味。横井さんが連れてきたゲストというので2人とも話しかけてくれるのだが、昨日のマリスといい、スイス人は真面目である。オランダでも感じたがドイツ語圏は概して勤勉、真面目。「日本の原発政策は変わっていくのか」「日本の文学の現状はいかに?」……もう少しジョークを交えて変化球を投げてくれないかと内心うんざりしながら覚束ない英語で真面目に答える。わかったのだか、通じたのだか、よくわからないままにランチは終了。


Mond Sonne Jahreszeiten (月、太陽、季節)というタイトルの今回の展覧会は、横井さんの熱烈なコレクターであるUBSのグルーベルCEOの肝煎りで実現し、昨年の11月から今年の5月末まで開かれている。地下、1F、2Fにわたる展示は、展覧会と言うより、自然に囲まれた個人の大邸宅に飾られているかのようである。ほとんどの絵は売れてしまったらしく小さなオレンジ色の札が付いていた。









横井さんの展示以外に、Dr.Jefticに案内してもらい、館内を見学する。ホテル棟はモダンで清潔。コンスタンス湖(向かい側はドイツ)を見下ろすロケーションも、田舎の風景も、素敵と言えば素敵だが2日もいると退屈しそう。伊丹十三ではないが、欧州を旅していて「退屈」という言葉がいつも頭を過ぎるのはなぜだろうか。
横井さん、せっかちで、わずか2時間で見学は終了。もっとゆっくりお茶を飲んだり大女のDr.Jefticと雑談したりしたかったのだが、タクシーが迎えに来て、Wolfsbergを後にする。

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